抗がん剤治療

抗がん剤の種類、主な副作用

 術前化学療法でも術後化学療法でも一剤のみの抗がん剤を使うことはなく、多剤併用といって、

作用の異なる抗がん剤を2-3種類併せて使用します。

同時に併用することもありますが、最近では順次投与と言って、2種類のレジメン(治療のひとまとまりをレジメンと呼びます)を12週間ずつ、順番に投与する方法が用いられることが多くなっています。

どの組み合わせでいくかは、患者さん一人一人違いますので担当医と話し合って下さい。

 よく「抗がん剤の治療で命を縮める可能性があるのでは」と心配する人がいます。

しかし、「抗がん剤が延命につながることはあっても、命を縮めることはありえない」これだけは間違いないことです。

どのような副作用が出るか、代表的なものをいくつかご説明します。

吐き気・嘔吐 吐き気や嘔吐は、ほぼ薬でコントロールできます。強い吐き気を伴う抗がん剤には、ブリプラチン®、ランダ®など(一般名:シスプラチン)やアドリアシン®(一般名:塩酸ドキソルビシン/アドリアマイシン)、ファルモルビシン®(一般名:エピルビシン)などがあります。
神経毒性 タキソール®(一般名:パクリタキセル)などで出現しますが、今のところ十分なコントロール方法はありません。しかし、治療終了後3~6か月ぐらいで副作用は完全になくなるので、治療中は辛抱していただきたいものです。
口内炎 5-FU®(一般名:フルオロウラシル)を使った場合に出ることがあります。
全身倦怠 タキソテール®(一般名:ドセタキセル)を使った場合、3割ぐらいの患者さんに出ると言われています。今のところ、この副作用を防ぐ良い薬はありません。抗がん剤の副作用だと思っていたら、実は、ビタミン不足や睡眠不足が全身倦怠を引き起こしていた、という場合もあるので原因をはっきり見極めることが大切です。

アレルギーによる

過敏性反応

副作用の中でも一番注意が必要です。タキソールやタキソテールを使った場合、約3パーセントの患者さんに重篤なアレルギー反応が出るので、投与に当たっては細心の注意を払うことが必要です。

血管に対する

ダメージ

点滴が血管の外に漏れてしまって、点滴しているところが腫れてしまうような場合、薬剤によってはその部分に潰瘍ができてしまったり、ひどい場合には皮膚移植が必要となったりします。

絶対に血管外に漏らしてはいけない抗がん剤は、ナベルビン(一般名:酒石酸ビノレルビン)、ビンブラスチン(一般名:硫酸ビンブラスチン)、フィルデシン(一般名:硫酸ビンデシン)、オンコビン(一般名:硫酸ビンクリスチン)など「ビンカアルカロイド」と呼ばれるグループ、アドリアシン、ファルモルビシン、など「アンソラサイクリン」と呼ばれるグループ、マイトマイシン(一般名:マイトマイシンC)などがあります。また、タキソール、タキソテールなども注意が必要です。

したがって抗がん剤治療では、医療者側は、注意するべき薬剤が何かをよく認識し、サーフロという柔らかい留置針を使い、専任の看護師が点滴を行って、血管の外に薬剤が漏れないように注意する必要があります。また、患者さんは点滴中に、点滴部位が腫れてくる、痛みがだんだん強くなる、針を刺したところの痛みが点滴中いっこうに軽くならない、などの場合は、担当の看護師にその状況を伝えてください。

好中球減少 「抗がん剤治療をすると免疫力が落ちる」などと言う人が多いです。大部分の抗がん剤では、点滴後7日から12日目あたりに、白血球の成分である好中球が減少します。この時期は、細菌感染に対するからだの防御力、すなわち免疫力が低下します。その時期には38度を超える熱が出ることがあります。しかし、15日目を過ぎれば細菌感染に対する免疫力は元通りに復活しますから、21日を過ぎたあたりに、また、次の抗がん剤の点滴を安全に行うことができるわけです。
脱毛 女性にとっては深刻な問題です。アンソラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤において脱毛は必発です。最初の点滴開始の15~16日目頃から抜け始め、ほとんどの毛髪が抜けます。しかし、点滴が終了するころには発毛が始まります。大切なことは、抗がん剤の種類によって現れる副作用が異なりますから、「どの薬で、いつ頃、どんな副作用が出るか、そしてそれはいつ頃回復するのか」を正しく把握し、あらかじめ準備できることは準備しておくことです。

 

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